0歳から2歳まで:乳幼児との安心避難を叶える親の備えとステップ
乳幼児を育てる保護者のための防災の第一歩
小さなお子様を育てる日々は、喜びと同時に、いつ起こるかわからない災害への不安を抱えることも少なくないでしょう。特に0歳から2歳までの乳幼児は、私たち大人の助けなしには行動できません。そのため、保護者様が事前に準備をしておくことが、お子様を守る上で何よりも重要となります。
「年齢でわかる!防災教室」では、乳幼児を持つご家庭が、無理なく、そして着実に防災への備えを進められるよう、具体的なステップと心構えをご紹介いたします。完璧を目指すのではなく、できることから一つずつ始めることが、いざという時の安心へと繋がります。
0-2歳児との避難を考える上での基本的な心構え
乳幼児を連れての避難は、大人だけの避難とは異なる課題があります。まずは、以下の心構えを大切にしてください。
- 「避難する」という意識の定着: 災害の種類や規模によっては、自宅にとどまるよりも速やかに避難することが最善の選択となる場合があります。ハザードマップなどを確認し、自宅周辺の避難場所や経路を把握しておくことが大切ですし、避難指示・避難勧告の意味を理解しておくことも重要です。
- 無理なくできることから始める: 一度に全ての準備を整えるのは大変です。まずは一つ、今日からできることを決めて行動に移してみましょう。
- 普段使いの延長で準備を進める: 乳幼児の防災グッズは、普段使っているアイテムを活用できるものも多くあります。特別なものを揃えるだけでなく、日常使いの延長線上で考えてみてください。
事前準備:いざという時のための「避難グッズ」
乳幼児を連れての避難に特化した、必須の避難グッズについて解説します。これらは、持ち出し用リュックサック(非常用持ち出し袋)に入れて、すぐに持ち出せる場所に保管してください。
- 食料・飲料:
- 液体ミルク、哺乳瓶、または粉ミルクと水(調乳用)
- 離乳食(レトルトタイプ、常温保存可能品)
- ベビー麦茶などの飲み物
- アレルギー対応食が必要な場合は、必ず準備してください
- 衛生用品:
- 紙おむつ(普段使いの量+α)
- おしりふき
- 手口拭き、ウェットティッシュ
- 携帯用消毒液
- ビニール袋(汚れたおむつ処理など)
- 衣類・防寒具:
- 着替え(数セット)
- 肌着
- 防寒具(ブランケット、上着など)
- バスタオル
- その他:
- 抱っこ紐、おんぶ紐(両手が空くタイプ)
- 母子手帳、健康保険証のコピー
- 常用薬(処方薬はかかりつけ医と相談し、多めに処方してもらうことも検討してください)
- お気に入りのおもちゃや絵本(安心材料になります)
- モバイルバッテリー、充電器
- 懐中電灯(ヘッドライト型が便利です)
これらのアイテムは、定期的に中身を確認し、使用期限切れがないか、お子様の成長に合わせて必要なものが変わっていないかなど、見直しを行うことが大切です。特にミルクやおむつは消費が早いため、普段の備蓄と兼ねて「ローリングストック法」を取り入れることをお勧めします。
避難経路の確認と家族の役割分担
災害時に冷静かつ迅速に行動するためには、事前の情報共有と役割分担が欠かせません。
- 自宅からの避難経路の確認:
- 家の中で最も安全な場所はどこか、家族で共有してください。
- 自宅から地域の指定避難場所までの経路を複数確認し、実際に歩いてみることをお勧めします。乳幼児連れでは、ベビーカーが通れない道や、段差の多い場所は避けるなど、具体的な状況を想定して確認してください。
- 地域の避難場所の確認:
- 自治体が公開しているハザードマップなどで、自宅周辺の避難場所(指定緊急避難場所、指定避難所)を確認してください。
- 広域避難場所や一時的な避難場所など、複数の種類があることを理解しておくことも重要です。
- 家族内での役割分担:
- いざという時、誰が子どもを連れて避難するか、誰が避難グッズを持ち出すかなど、事前に役割を決めておきましょう。
- 緊急連絡先(親戚や友人など)も共有し、災害用伝言ダイヤル「171」の使い方も確認しておいてください。
普段の生活に取り入れる「プチ防災」
特別な訓練ではなく、日々の暮らしの中で自然に防災意識を高める工夫も効果的です。
- 抱っこ紐を使った避難シミュレーション:
- 室内で、実際に抱っこ紐を使ってお子様を抱き、家の中を移動する練習をしてみましょう。揺れを感じた際、どのように身を守り、お子様を安全に移動させるかを体感できます。
- 防災グッズの置き場所共有:
- 持ち出し用リュックサックを置く場所を家族全員で共有し、常に整理整頓しておくことが大切です。少し大きなお子様には、「これは大切なものを入れるバッグだよ」などと伝えておくのも良いでしょう。
- 非常食の試食:
- 備蓄している離乳食やレトルト食品を、普段の食事で試食してみましょう。お子様の好みに合うか、食べ慣れているかを確認することで、災害時の食料確保の参考にできます。
専門機関や地域の情報を活用する
国や地方自治体、地域の防災機関は、防災に関する様々な情報やリソースを提供しています。積極的に活用してください。
- ハザードマップや防災アプリ:
- お住まいの地域のハザードマップは、自治体のウェブサイトや窓口で入手できます。水害や地震のリスクを把握し、避難行動の判断材料としましょう。
- スマートフォンの防災アプリも、災害情報の迅速な入手や家族との安否確認に役立ちます。
- 地域の防災訓練への参加:
- 乳幼児連れでも参加可能な防災訓練がある場合は、ぜひ参加を検討してください。地域の防災意識を高め、いざという時の助け合いに繋がります。
- 参加が難しい場合でも、地域の防災会や自主防災組織がどのような活動をしているか情報を集めておくことは有益です。
継続的な見直しと実践のすすめ
乳幼児との防災準備は、一度行ったら終わりではありません。お子様の成長に合わせて必要なものが変わったり、家族構成や住環境の変化があったりするたびに、備えを見直す必要があります。
防災は、決して特別なことではありません。日々の生活の中で少しずつ意識し、実践していくことで、ご家族の安心へと繋がっていきます。今日からできることを見つけ、一歩を踏み出してみませんか。