未就学児(3-6歳)と楽しく学ぶ地震対策:家庭でできる「地震ごっこ」入門
なぜ未就学児に「地震ごっこ」が良いのか
小さな子供たちにとって、地震のような自然災害は理解が難しく、怖い出来事かもしれません。しかし、適切な方法で繰り返し学ぶことは、いざという時に自分の身を守る行動につながります。特に未就学児(3歳から6歳頃)は、遊びを通して学ぶことが得意な時期です。難しく考えすぎず、家庭で「地震ごっこ」を取り入れることで、楽しく自然に防災への意識を高めることができます。
「地震ごっこ」は、単に揺れを再現するだけでなく、具体的な安全行動を体を動かして覚えるための有効な手段です。絵本や言葉だけの説明よりも、実際に体を動かして「どうするのか」を体験することで、子供たちはより深く理解し、記憶に定着させることができます。
「地震ごっこ」で身につける大切な行動
「地震ごっこ」を通して、子供たちに身につけてほしい基本的な行動は以下の3つです。
- まず低く: 揺れを感じたら、すぐに姿勢を低くする。
- 頭を守り: クッションや座布団などで頭を守る。
- 揺れが収まるまで動かない: 安全な場所でじっとしている。
これらは「シェイクアウト」と呼ばれる安全行動の基本であり、多くの防災機関が推奨しています。未就学児には、「ダンゴムシポーズ」や「亀さんポーズ」のように、子供がイメージしやすい言葉で伝えるのも効果的です。
家庭でできる「地震ごっこ」の実践ステップ
家庭で「地震ごっこ」を行うための具体的なステップを紹介します。特別な準備はほとんど必要ありません。
ステップ1:始める前の準備と心構え
- 安全な場所の確認: まず、ごっこを行う部屋の中で、地震が起きた際に物が落ちてこない、倒れてこない安全な場所(テーブルの下など)を確認しておきましょう。
- 道具の準備: 頭を守るためのクッションや座布団を用意します。ヘルメットがあればより実践的ですが、日常にあるもので十分です。
- 雰囲気作り: 「これは遊びだよ。でも、もし本当に地震が来たら、この遊びみたいに体を守るんだよ」と優しく伝えます。怖い雰囲気にせず、あくまで「身を守る練習」であることを強調します。
ステップ2:基本的な「地震ごっこ」のやり方
- 開始の合図: 「あ、地震だ!」やブザーの音など、始める合図を決めます。
- 安全行動: 合図を聞いたら、すぐに「まず低く、頭を守り、動かない」の姿勢をとる練習をします。
- 床に伏せて頭をクッションなどで覆う「ダンゴムシポーズ」などを促します。
- 近くに丈夫なテーブルがあれば、その下にもぐる練習も効果的です。テーブルの脚をしっかり握ることも教えましょう。
- 揺れが収まったら: 「もう揺れは収まったよ。大丈夫かな?」などと声をかけ、安全を確認する仕草をします。
- 褒める: 上手にできたら、「すごいね、ちゃんと体を守れたね」とたくさん褒めて、子供の達成感を高めます。
ステップ3:遊びを発展させる
慣れてきたら、以下のような要素を取り入れて、より実践的な練習につなげることができます。
- 場所を変えて行う: リビング、子供部屋、キッチンなど、家の中の様々な場所で行います。場所によって安全な場所が違うことを学びます。
- 状況を変えて行う: 立っている時、座っている時、寝ている時など、色々な状況から安全行動をとる練習をします。
- 声かけを加える: 「物が落ちてきそうだよ」「ガラスが危ないね」など、状況説明を加えて、より現実感を高めます。
- 避難場所まで移動: 揺れが収まった後、事前に決めておいた一時的な集合場所(家の中の安全な場所)まで移動する練習を加えます。
「地震ごっこ」を行う上での注意点
「地震ごっこ」は楽しく行うことが大切ですが、いくつか注意しておきたい点があります。
- 怖がらせない: 決して子供を怖がらせるために行うのではありません。あくまで身を守る方法を学ぶための遊びです。大人が笑顔でリードし、終始明るい雰囲気で行いましょう。
- 無理強いしない: 子供が乗り気でない時に無理強いするのは逆効果です。子供の気分が乗っている時に行うのが最も効果的です。
- 長時間行わない: 短時間で集中して行う方が、子供は飽きずに取り組めます。1回あたり数分程度で十分です。
- 毎回同じ場所ではないこと伝える: いつもテーブルの下に逃げられるわけではないことを伝え、「近くに安全な場所がないときは、まず頭を守ってしゃがむ」ことも教える必要があります。
まとめ:家庭で継続することの重要性
未就学児にとって、一度教わっただけで完璧に身につけるのは難しいことです。「地震ごっこ」は、一度行ったら終わりではなく、繰り返し行うことに意味があります。日常生活の中で、絵本を読んだり、テレビを見たりするのと同じように、遊び感覚で定期的に「地震ごっこ」を取り入れてみてください。
家庭でのこうした小さな積み重ねが、子供たちの防災意識を育み、いざという時に冷静に身を守る力につながります。まずは無理のない範囲で、楽しく「地震ごっこ」を始めてみましょう。